当社のTCFD提言への取り組み

 当社は、2021年4月に、持続的に成長・発展していくために「目指す会社像」を掲げ、中期経営計画『Sustainable Growth 2026 ~人、心、そして未来へ~』を策定し、同計画のテーマ・基本的な考え方にサステナビリティを巡る取組みについての方針を発表しました。 また、当社は気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、 2022年5月にTCFD提言への賛同を表明し、「TCFDの枠組みに基づく情報開示」を実施します。 当社は社会インフラを支える企業として持続的成長・発展に向けた確実な歩みを進めるため、コア事業である「一般電気・環境関連・情報通信・内装」・電力関連事業・海外事業といった既存事業の基盤強化を進めるとともに、 カーボンニュートラル社会実現に向けた再生可能エネルギー関連工事等の拡大を図り、総合設備エンジニアリング企業として更なる挑戦を展開しています。

 今後も、事業活動を通じた持続可能な社会の実現に貢献するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取組んでいきます。

TCFD提言に基づく情報開示

A) ガバナンス

  •  当社では、当社グループにおける気候変動を含む事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理し、持続的な成長を実現するために、社長が任命した役員を委員長とした「リスク管理委員会」を設置しています。
  •  リスク管理委員会は、リスクに関する事項を把握、評価し、必要に応じて業務執行箇所に対して改善指導を行っております。取締役会は、リスク管理委員会でのリスク管理状況について定期的に報告を受け、監督しています。
  •  なお、当社では中期経営計画に基づき、カーボンニュートラル達成に向けての対策計画の策定・推進を目的として、 「カーボンニュートラル推進委員会」を設置しており、カーボンニュートラル達成への進捗状況については、取締役会へ定期的に報告しています。

B) 戦略

  シナリオの設定

  •    国際エネルギー機関(IEA)および、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照し、今世紀末までに産業革命以前と比較し世界の平均気温上昇が「1.5℃」と「4℃」の2つのシナリオにおける2050年の社会を想定し、各シナリオにおけるリスクと機会の分析を行いました。
  • ・「1.5℃」シナリオ ・・・気候変動に対し厳しい対策が取られ、2100年時点において、産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ
  • ・「4℃」シナリオ ・・・気候変動への厳格な対策が取られず、2100年時点において、産業革命時期比で4℃程度気温が上昇するシナリオ
  •    気候変動に関連する物理的リスク、移行リスクを適切に選定し、企業としての対策を策定することで、レジリエンスを高めていく一方、事業機会を特定し戦略的に取り組んでいます。 ZEBをはじめとした建物の省エネ化に関わる工事需要拡大、再生可能エネルギー関連工事需要の拡大を移行リスク・機会として特定しています。 また、自然災害や気温上昇による労働環境や生産性への影響を物理リスク、災害に備えたインフラや建物のレジリエンスの必要性の高まりを事業機会として特定しています。

  シナリオ分析結果(1.5℃シナリオ)

シナリオ 気候関連事象 当社への影響 当社としての対応
1.5 ℃シナリオ リスク 温室効果ガス排出抑制に関する規制強化 CO₂排出量の削減要請が高まる中で、当社の削減目標を達成できないこと 中/長期
  • ・事業所への環境関連投資(太陽光パネル設置、省エネ機器導入等)の推進
  • ・車両のEV化の推進
  • ・グループ会社が所有する風力発電所の活用促進(環境付加価値証書の活用)
  • ・再生可能エネルギー由来の電力購入
  • 顧客からの、環境に配慮した施工に対する要求の高度化 中/長期
  • ・環境に配慮した低炭素資材・再生資材の調達推進
  • ・環境負荷の少ない新技術、新工法の開発
  • ステークホルダーの環境意識向上や情報開示要求強化 当社のCO₂削減活動・情報開示対応不十分によるレピュテーションリスク 中/長期
  • ・目標達成に向けた具体的施策の確実な実施と、ステークホルダーへの適切な情報開示
  • 機会 再生可能エネルギーの利用拡大 再生可能エネルギー関連工事需要の増加 中/長期
  • ・風力、太陽光、バイオマス等、関連工事需要の増加に対応できる組織・体制の強化
  • ・当社の優位性を高めるための再生可能エネルギー関連工事に関する技術開発の促進、技術力の向上
  • 建物の省エネ化 省エネ関連工事需要の増加 短/中期
  • ・エネルギーマネジメントなど省エネに繋がる提案メニューの充実
  • ・顧客の持続可能な省エネ化に向けて、積極的な提案活動の実施
  • 非化石燃料の利用拡大 化石燃料の電化促進に伴うインフラ工事(充電ステーションなど)需要の増加 中/長期
  • ・新たな社会インフラに対応できる技術開発の促進、技術力の向上
  •   シナリオ分析結果(4℃シナリオ)

    シナリオ 気候関連事象 当社への影響 当社としての対応
    4℃シナリオ リスク 自然災害の激甚化 台風や水害等の自然災害被害による当社事業所機能の停止 中/長期
  • ・当社事業継続確保に向けた確実なBCP対応
  • 社会インフラやお客様の建物等の被害に対する緊急対応の増加 中/長期
  • ・災害発生時に柔軟な対応ができる体制の維持
  • 気温上昇 酷暑期の現場作業における熱中症発生リスクの増大 短/中期
  • ・暑熱対策の徹底による熱中症の未然防止
  • 作業環境悪化による現場における作業効率の低下 短/中期
  • ・作業者の疲労度軽減や作業安全に寄与する新工法、新工具の開発
  • ・施工効率向上に向けた工事部材のプレハブ化・ユニット化の推進
  • 機会 国土強靭化政策の強化 防災・減災に向けた社会インフラの強靭化関連工事需要の増加 中/長期
  • ・社会インフラ強靭化関連工事需要の増加に対応できる施工体制の構築
  • 防災・減災に向けた建物のメンテナンス・リニューアル工事需要の増加 中/長期
  • ・顧客のBCP対応に向けた技術開発の促進、技術力の向上
  • ・メンテナンス・リニューアル工事需要の増加に対応できる組織・体制の構築
  • C) リスク管理

    •  当社は、当社グループの気候変動を含む事業活動に伴うリスクについては、業務執行箇所が自律的に管理することを基本とし、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応のために設置されたリスク管理委員会が、リスクを統括的に管理しています。
    •  具体的には、各業務執行箇所がリスクを認識した上で、その影響度、発生可能性の観点から重要性を評価し、必要な対策を実施するとともに、対策後に評価を行い改善していく一連のプロセスを確立しています。
    •  なお、リスク管理委員会は、適宜カーボンニュートラル推進委員会と連携し、必要な情報の共有を図っています。

    D) 指標と目標

    •  当社グループは、カーボンニュートラル推進委員会において、CO₂排出量を分析した上で、カーボンニュートラル達成に向けての対策計画を策定、推進しています。
    •  地球温暖化対策推進法の遵守、当社の企業理念、中期経営計画に沿った環境戦略といった観点から、 CO₂排出量削減への取組みは必須と考えております。その取組みに実効性を持たせるため、当社は、Scope1、2 の2030年度における削減目標を設定しています。具体的には、2030年度にCO₂排出量2020年度比50%削減を目指します。

      当社のCO₂削減目標

    目標年 対 象 削減率
    2030年度 きんでん単体
    Scope1、2
    2020年度比
    50%

      当社のCO₂削減実績

    (単位:t-CO₂)
    2020年度 2021年度 2022年度 2030年度
     Scope1 16,969 17,081 15,121
     Scope2 11,606 12,097 10,543
    CO₂排出量 28,575 29,178 25,664 14,287
    削減率 ▲2.1% 10.2% 50%
    ※Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
     Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出